太陽系の惑星
太陽系には、太陽から近い順に水星(Mercury)、金星(Venus)、地球(Earth)、火星(Mars)、木星(Jupiter)、土星(Saturn)、天王星(Uranus)、海王星(Neptune)の8つの惑星があります。そして、「すいきんちかもくどってんかい」と言って覚えると思います。私の場合、「すいきんちかもくどってんかいめい」と言って、「めい(冥王星)」を入れて9つの惑星として覚えました。太陽系の惑星の数が9つから8つに減ったのは2006年でした。

2006年8月にチェコ共和国のプラハで国際天文学連合(IAU: International Astronomical Union)の総会が開催されました。そして、そこでは太陽系の惑星などの天体について、次のとおり3つの種類に区別する定義が採択されました。1つ目は太陽系の惑星の定義です。すなわち、(1)太陽の周りを回っている天体であること、(2)天体が十分に大きな質量を持つため、その重力がその天体に働く他の種々の力より上回っていること、その結果、重力平衡形状をしている天体であること、
つまり、天体自体の重力がその形をほぼ球状するほど強いこと、(3)天体の軌道の周辺から他の天体を排除していること、言い換えると、一定の大きさ以上の天体は、小さな天体を取り込んだり、弾き飛ばしたりするため、その軌道付近には他の天体が存在しないこと、という3つの条件を満たしている天体が太陽系の惑星となりました。2つ目は太陽系のdwarf planet(ドワーフ・プラネット: 準惑星)の定義です。惑星と同じように3つの条件がありますが、2つは惑星の(1)と(2)の条件と同じです。
しかし、「(3)天体の軌道の周辺から他の天体を排除していること」は「(3)天体の軌道の周辺から他の天体を排除していないこと」という条件に変わります。3つ目は、太陽の周りを回っている惑星と準惑星以外のすべての天体のことで、small solar system bodies(太陽系小天体)と総称します。ただし、これらの3つの種類には衛星は含まれません。そして、冥王星は、上記の惑星の定義に当てはまらないため、太陽系の惑星から外されました。
ちなみに、地球から太陽までの距離を平均で示すと、約1億4,960万キロメートルになります。この距離を光の速度(秒速約30万キロメートル)で移動すると、約8分19秒かかります。一方、太陽系の一番外側で太陽を公転している惑星は海王星です。海王星と太陽との平均距離は約45億440万キロメートルになります。その距離を比較すると、地球のおよそ30倍も遥か遠くで公転しています。残りの7つの惑星についても太陽との平均距離を地球と比較すると、
水星はおよそ0.4倍、金星はおよそ0.7倍、火星はおよそ1.5倍、木星はおよそ5倍、土星はおよそ10倍、天王星はおよそ19倍になります。また、地球はおよそ1年(365日)で太陽の周りを公転します。この公転周期を比較すると、水星はおよそ0.2年、金星はおよそ0.6年、火星はおよそ1.9年、木星はおよそ12年、土星はおよそ29.5年、天王星はおよそ84年、海王星はおよそ165年で太陽の周りを公転します。
冥王星と準惑星
冥王星の発見については次のとおりです。19世紀の末頃から海王星の外側に未知の惑星が存在すると考えられていました。1915年には、アメリカの天文学者パーシバル・ローウェル(1855~1916年)がその存在を発表しました。そして、ローウェルが創設した天文台の天文学者クライド・トンボー(1906~1997年)が1930年に新たな惑星として発見しました。当時のローウェル天文台の所長ヴェスト・スライファーはこの惑星の名称を「Pluto(プルートー: 冥王星)」とすることを発表しました。
Plutoとはローマ神話における冥界を司る神のことです。冥王星の直径は、約2,370キロメートルで月(直径約3,476キロメートル)よりも小さい天体です。窒素を主成分とする薄い大気がありますが、表面は、マイナス230度以下にもなり、窒素、一酸化炭素、メタンなどの氷で覆われています。冥王星は大きな楕円を描いて太陽の周りを公転しています。すなわち、遠日点距離(太陽から最も遠ざかるときの距離)は約73億8,000万キロメートルです。
一方、近日点距離(太陽に最も近づくときの距離)は約44億4,000万キロメートルです。そして、冥王星の太陽からの平均距離は約59億キロメートルになります。また、冥王星の軌道は地球の軌道面(黄道面)に対して約17度傾いています。そのため、その軌道が太陽に近づくと、海王星の軌道の内側に入ってきます。ちなみに、冥王星の公転周期は約248年です。2006年、国際天文学連合の総会はこの冥王星を準惑星として採決しました。その背景は次のとおりです。


冥王星は、遥か遠く、太陽系の外縁で太陽の周りを回っているけど、この冥王星の上空約12,500キロメートルまで最接近した宇宙探査機があるんだ!それはNASA(アメリカ航空宇宙局)の「ニューホライズンズ(New Horizons)」だよ!この探査機は、2006年1月19日にアメリカのフロリダ州で打ち上げられてから、約9年6か月後の2015年7月14日に約48億8,000万キロメートル離れていた冥王星への最接近を果たしたんだ! ニューホライズンズは、秒速約16.26キロメートルという史上最も速い速度で宇宙を飛行したんだよ!
そして、約1年と40日かけて木星に最接近したんだ!木星ではフライバイという飛行で加速しながら、木星探査を行ったんだ!その後、冥王星に最接近したニューホライズンズは、冥王星を探査しながら、再びフライバイを行ってさらに加速したんだよ!それから、他の太陽系外縁天体を探査しながら、太陽系の外に向かって航行しているんだ!フライバイを使って探査機が加速する理屈については「宇宙に飛んでいく【ロケット】についてわかりやすく解説!」を読んでね!
1990年代以降、天体観測の技術が進歩したことに伴って、太陽系の外側に存在する天体(太陽の周りを公転する比較的大きな天体)が次々と発見されました。そして、惑星と考えられる天体も新たに発見されました。2003年には、冥王星の遥か外側で、冥王星と同じような球状の天体が発見されました。そして、この天体は、直径が約2,326キロメートルで、黄道面に対して約44度も傾いた軌道上を冥王星よりもさらに大きな楕円を描いて、太陽の周りを公転していることが分かりました。
ちなみに、この天体の公転周期は約558年で、近日点距離は約58億キロメートル、遠日点距離は約146億キロメートルになると言われています。この天体が発見されたときは、冥王星は太陽系の第9惑星でした。2005年、この天体は第10惑星として発表されましたが、惑星とするべきかどうかについて論争になりました。その結果、先に解説したように、2006年の国際天文学連合の総会において惑星などの定義が採決されました。

そして、この天体は、Eris(エリス: ギリシア神話の戦争と不和の女神)と名付けられて、惑星ではなく準惑星に分類されました。すなわち、エリスの軌道の周辺には衛星以外の多数の天体があるため、惑星の3番目の条件である「天体の軌道の周辺から他の天体を排除していること」に該当しないと判断されました。この時、冥王星も、エリスと同様に準惑星の定義に当てはまると判断されたため、惑星から外されました。
すなわち、冥王星は、先に解説した3つの種類に区別する定義によって、dwarf planet(準惑星)であり、trans-Neptunian object(トランス・ネプチュニアン天体)の新しい種族の典型例として認識されることが採決されました。トランス・ネプチュニアン天体については後ほど解説します。ちなみに、国際天文学連合がこれまで準惑星に分類した天体は、エリス、冥王星(プルートー)、ケレス(Ceres)、マケマケ(Makemake)、ハウメア(Haumea)の5つになります。

これらのうち、ケレスは火星と木星の間の小惑星帯の中にあります。なお、2003年には、エリスよりも遥か遠くで太陽を公転している天体も発見されました。その天体は、直径およそ1,700キロメートルの球形で、Sedna(セドナ: イヌイット神話の海の女神)と名付けられました。セドナは、3つの種類のうち準惑星に分類される可能性がありますが、いまだ未分類です。セドナは、エリスよりもさらに大きな楕円軌道上で太陽を公転しています。
すなわち、近日点距離は76天文単位となり、遠日点距離は937天文単位になると言われています。ちなみに、1天文単位は1億4,959万7,870.7キロメートル(太陽から地球までの距離)ですから、太陽から最も近い近日点距離を単純計算すると、約113億7,000万キロメートルで、エリスの2倍近くになり、遠日点距離は約1,401億7,000万キロメートルで、エリスのおよそ9.6倍になります。そして、公転周期はおよそ1万1,500年になるそうです。


冥王星には、カロン、ステュクス、ニクス、ケルベロス、ヒドラという5つの衛星があるよ!これらの衛星のうち、カロンは、冥王星の約半分の大きさ(直径1,208キロメートル)で、一番内側を周回しているんだ!そして、冥王星とカロンの平均距離は約19,571キロメートルと言われているよ!ちなみに、地球と月の平均距離が約38万4,400キロメートルだから、すごく近いよね!冥王星から見えるカイロは、地球から見える月の約7倍の大きさに見えるそうだよ!
トランス・ネプチュニアン天体
1930年に太陽系の遥か外側で冥王星が発見されてから、他の惑星などの天体が存在する可能性が考えられました。1943年、アイルランドの天文学者ケネス・エセックス・エッジワース(1880~1972年)は、海王星の外側には、公転周期が200年以下の短周期彗星となる天体が存在するという考えを発表しました。1951年、オランダ生まれのアメリカの天文学者ジェラルド・ピーター・カイパー(1905~1973年)は、海王星の外側には円盤のようなベルト(地帯)があって、
そこには小さな天体が多数存在するという仮説をいっとき立てました。その後、しばらくの間、カイパーの仮設に対する関心は薄れましたが、1980年代なると、短周期彗星となる天体が存在するところとして、カイバーの仮設が注目されるようになりました。そして、調査が続けられた結果、1992年、海王星の外側で太陽を回っている天体が新たに発見されました。ちなみに、その天体は後にアルビオンと名付けられました。そして、このような天体の発見が次々と続きました。すなわち、エッジワースとカイパーという2人の天文学者の考えが証明されたことになりました。
そこで、海王星の軌道の外側で円盤状に広がる地帯をエッジワース・カイパーベルト又はカイパーベルトと呼び、そこに存在する天体を総称してエッジワース・カイパーベルト天体(EKBOs: Edgeworth-Kuiper belt objects)又はカイパーベルト天体と呼びました。そのカイパーベルトの幅は30~55天文単位に及びます。さらに、海王星の強い重力によって軌道や軌道傾斜角(黄道面に対して傾いた角度)が乱れて、カイパーベルトから弾き出されたように大きな楕円軌道と軌道傾斜角を描く天体があります。
これを散乱円盤天体(Scattered disk objects)と呼びます。先に解説した準惑星のエリスはこの散乱円盤天体になります。散乱円盤という円盤状の範囲はカイパーベルトの外側ですが、一部はカイパーベルトと重なります。その範囲のうち最も遠いところは100天文単位を超えると言われています。そして、海王星の軌道よりも遠いところで太陽の周りを公転している天体のことを総称して、トランス・ネプチュニアン天体(TNOs: Trans-Neptunian objects)と呼びます。つまり、これは海王星の向こう側(外側)にある天体という意味です。
日本語ではこれを「太陽系外縁天体」と呼んでいます。これまで数千個の太陽系外縁天体が発見されてきました。さらに、カイパーベルトの外側について仮説を提唱した天文学者がいました。オランダの天文学者ヤン・ヘンドリック・オールト(1900~1992年)は、1950年に公転周期が200年を超える長周期彗星となる天体が存在する球状の範囲があると考えました。そして、それを「オールトの雲(Oort cloud)」と名付けました。このオールトの雲については、これまで観察されたことはなく、あくまでも仮説です。

すなわち、太陽系で惑星などが形成された際、惑星などに取り込まれず、散り散りになって残された小天体がありました。太陽系の形成後、これらの小天体がカイパーベルトの遥か遠方の最果てまで放出されて、数兆個に及ぶ氷の小天体などになりました。そして、それらの天体は、太陽から遥か遠方の宇宙で、太陽系を球状に包むように広がって公転していると考えられています。その範囲には諸説ありますが、数千又は1万天文単位~10万天文単位という広大なものと考えられています。この説によると、先ほど解説したセドナ(遠日点距離: 937天文単位)は、カイパーベルト天体や散乱円盤天体よりも遠方で公転していますが、オールトの雲の範囲には含まれていないことになります。














コメント