木星とは
木星は、太陽に近い順から水星、金星、地球、火星に次ぐ太陽系の第5惑星で、太陽系最大の惑星です。その英語名はJupiter(ジュピター)です。ジュピターとは古代ローマ神話の最高神ユピテルのことです。ジュピターは、神々の王であり、そして空と雷の神です。

ジュピターは古代ギリシャ神話のゼウス(Zeus)に相当する主神です。ゼウスとは、ギリシャ神話の天空の神であり、オリンポス12神の頂点に君臨する最高神のことです。
木星は、「衝(しょう)」のとき、約マイナス2.8等(数字が小さいほど明るい)の明るさで輝いて見えます。「衝」とは、地球を中心にして、木星が太陽とまさに反対側に並んだときのことです。つまり、木星が地球に最も接近したときです。


地球の外側を公転している惑星、すなわち、火星、木星、土星、天王星、海王星を外惑星と呼ぶんだ!そして、外惑星が地球に最も接近するときを「衝」と呼び、最も遠いときを「合(ごう)」と呼ぶよ!
「衝」のときは、太陽、地球、外惑星という順で真っすぐに並ぶことになるんだ!「合」ときは、地球から見て外惑星が太陽の裏に位置することになり、地球、太陽、外惑星という順で真っすぐに並ぶことになるんだ!
この頃、木星は、日が沈み空が暗くなると、東の空に現れます。そして、木星は、真夜中を通して南の空で輝き、明け方に空が白み始める頃に西の空に沈みます。そのため、木星は「夜半の明星」とも呼ばれます。
木星までの距離
太陽の周りを公転している地球と木星は、衝又は合と呼ばれる最も近いところと最も遠いところの位置を繰り返しているので、お互いの距離も常に変動しています。すなわち、地球からの距離は、おおよそ5億9,000万~9億7,000万キロメートルの間で移動しています。
光の速度(秒速30万キロメートル)で地球から木星までの到達時間を計算すると、最も近い(5億9,000万キロメートル)ときには約33分で、最も遠い(9億7,000万キロメートル)ときには約54分になります。

また、秒速11.2キロメートル(地球の重力から離脱できる第二宇宙速度)の宇宙船が、地球に最接近する木星に到達するには、単純計算で約610日かかります。惑星探査のために、1977年、NASA(アメリカ航空宇宙局)がホイジャー1号と2号を打ち上げました。
同年8月20日に先に打ち上げられたボイジャー2号は、木星を通過するのに688日を要しました。同年9月5日に打ち上げられたボイジャー1号は546日で木星を通過しました。ちなみに、太陽から木星までの平均的な距離はおおよそ7億8,000万キロメートルになります。
木星の公転と自転
地球の公転周期(太陽を1周するのにかかる時間)は1年で、その公転速度は秒速約30キロメートルです。これに対して、木星の公転周期は約12年で、その公転速度は平均で秒速約13キロメートルです。
すなわち、木星は、地球に比べて約12倍の時間をかけて、地球の半分以下の速度で太陽を公転しています。一方、地球の赤道上の自転速度は秒速約470メートルですが、木星の赤道上の自転速度は秒速約12,500メートルです。

そして、地球の自転周期(1回自転するのにかかる時間)は約24時間ですが、木星の自転周期は約10時間です。つまり、木星の1日は約10時間で終わります。地球の時間と比べると、木星は1日がとても短く1年がとても長い惑星です。
このように、木星は、ものすごい速さで回転しながら、地球の外側の長い軌道上をゆっくりとした速度で太陽のまわりを周っていることになります。ちなみに、木星は太陽系の惑星の中で最も速く自転しています。
木星の大きさ
木星は、赤道半径が71,492キロメートルで地球の約11倍になります。地球と異なり、木星はガスでできていますが、太陽系の中で一番大きな惑星です。体積は地球の約1,320倍、質量は地球の約318倍です。ちなみに、木星の密度は地球の0.24倍です。木星はガスの惑星ですから、密度は地球よりも小さくなります。

木星の表面
木星の大気は、水素とヘリウムが主な成分で、水素が約90パーセント、ヘリウムが約10パーセントを占めています。さらに、微量の成分として、メタン、アンモニア、硫化水素、水(氷晶)などが大気に含まれています。木星の表面には、赤道に平行して色の違う雲が流れています。

暗く茶色のところを縞(しま)と呼んでいます。そして、明るく白いところを帯(おび)と呼んでいます。硫黄やリンなどの化合物の違いなどによって、大気の色の違いが生じていると言われています。
また、茶色く見えるところは高温域で大気が下降しており、白く見えるところは低温域で大気が上昇しています。つまり、木星の模様は大気の下降と上昇にも関係しています。そして、これらの雲はアンモニアの氷晶でつくられています。
木星の表面の平均温度はおおよそ摂氏マイナス140度ですが、内側に入るほど温度は高くなります。また、木星では、赤道付近において西風が吹いていますが、中緯度になるにつれて西風と東風が吹いている地帯が交互に存在しています。
その風は、秒速約100メートルの強風ですが、極域では秒速約400メートルに達することもあるそうです。また、茶色い縞のところでは下降気流が発生しているため、低い高度の雲が見えています。白い縞のところでは上昇気流が発生しているため、高い高度の雲が見えています。

南半球の中緯度には大きな赤い斑点があります。これは、大赤斑(だいせきはん)と呼ばれ、地球が2個入るほどの大きさです。そこでは反時計回りの暴風が吹き荒れています。そして、その暴風に流される雲が巨大な渦を形成しています。この楕円形の渦は350年以上も存在し続けていると考えられています。
木星の内部構造
すでに解説したように、木星はほぼ全体が大気で構成されています。その大気には、水素が約90パーセント、ヘリウムが約10パーセント、微量な成分としてメタン、アンモニア、硫化水素、水(氷晶)などが含まれています。
木星の表層は3つの雲の層によって構成されています。すなわち、上層にはアンモニアの雲、中間層には硫化水素アンモニウムの雲、下層には水の雲があります。そして、木星の雲の中では巨大な稲妻を発生させる雷が起きています。

木星の大気の中をさらに下降していくと、大気による圧力が高くなっていきます。おおよそ100キロメートルほど下降すると、その気圧によって液体の状態になった水素の層があります。
この液状水素の層は厚さが約2万キロメートルになります。そして、その最下層では圧力が300万気圧に達します。そのため、さらに下降すると、水素が液体金属の状態になっています。この層の厚さは約4万キロメートルです。
そして、その層の下には鉄を主成分とする岩石状態の中心核があります。そこでは、圧力が3,000~4,000万気圧で、温度が摂氏2万~5万度になります。いずれにせよ、木星の構造は、確認されておらず、推定の域を出ません。
木星の衛星
木星ではこれまで90個以上の衛星が見つかっています。その中でも、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストという4つが代表的な衛星です。イオは、地球の衛星である月よりわずかに大きく、火山活動が非常に活発です。
そこには約400の活火山があります。エウロパは、月よりわずかに小さく、表面は氷で閉ざされていますが、その下には広大な海があると考えられています。生命が存在する可能性がある衛星です。

ガニメデは水星よりも大きく太陽系で最も大きな衛星です。表面にはクレーターに覆われた暗い地域と溝のある明るい地域があります。地下には海がある可能性があります。
カリストは、水星と同じくらいの大きさです。その表面はたくさんのクレーターに覆われています。この衛星も地下には海が存在する可能性があります。

この4つの衛星は、1610年にイタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイによって発見されたので、ガリレオ衛星と呼ばれているよ!
そして、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストという名称は、古代ギリシャ神話に登場する最高神ゼウスが愛した者たちの名前に由来しているんだよ!神話では、ゼウスは、すごい浮気者で、妻がいたのに愛人もたくさんいたんだ!
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