大気圏
地球は大気圏によって覆われています。そして、地球の大気には薄い空気の層があります。空気は、窒素が約78パーセント、酸素が約21パーセント、アルゴン、二酸化炭素などが約1パーセントの割合で占められています。この割合は高度約80キロメートルまではほぼ一定です。
一方、このような大気は、高度が高くなるにつれて薄くなっていきます。大気圏は、地上から上空に向かって、対流圏、成層圏、中間圏、熱圏、外気圏という5つの層から構成されています。
地上から高度約8~17キロメートルまでを対流圏、対流圏の上~高度約50キロメートルまでを成層圏、高度約50~90キロメートルまでを中間圏、高度約90~500キロメートルまでを熱圏、高度約500~10,000キロメートルまでを外気圏と呼んでいます。これは高度や気温の変化から分けられています。
また、各層の境界を何々圏界面と呼びます。すなわち、対流圏と成層圏の境界を対流圏界面、成層圏と中間圏の境界を成層圏界面、中間圏と熱圏の境界を中間圏界面、熱圏と外気圏の境界を熱圏界面と呼びます。
国際宇宙ステーション(ISS: International Space Station)は、
高度400キロメートル前後の軌道上で地球を周回しているから、
大気圏内を飛行していることになるね!
宇宙との境に明確な定義はありませんが、高度80~100キロメートル以上になると、大気はかなり薄くなります。そのため、宇宙空間と言うこともできます。NASAでは、スペースシャトルが、地球に帰還する際に、高度を120キロメートルに下げると、大気圏再突入と呼んでいました。 つまり、それより上空は宇宙になります。
対流圏
対流圏とは、極地(南極や北極)では高度約8キロメートル、赤道地域では高度約17キロメートルまでの大気の層です。対流圏では、地表に到達した太陽の放射エネルギーによって大気の対流が起ります。
すなわち、大気は、地表に近いところから暖められて上昇します。そのため、上空の冷たい大気は下降します。これにより、雲ができたり、雨が降ったりして、気象現象が起こります。
このように、対流圏では、太陽の放射エネルギーが地表を暖めるため、地表から離れるほど、つまり、高度が高くなるほど気温は下がっていきます。そして、対流圏では、ジェット気流や偏西風などの大気の動きに関する現象が起こります。
国際標準大気(ISA: International Standard Atmosphere)によると、標準的な対流圏界面の高さは約11キロメートルです。この高さまで、気温は、1キロメートル上昇するごとに、平均して6.5度下がります。そして、対流圏界面で気温の低下は止まります。
成層圏
成層圏とは、対流圏界面から高度約50キロメートルまでの上空のことです。成層圏では、高度が上がるほど、気温の低下率が下がっていきます。そして、気温は上昇に転じます。気温がこのように変化する大気では、対流は起こりにくくなります。
成層圏の下層ではマイナス50度以上になっていますが、上層の50キロメートル付近では0度位まで上がります。それは、成層圏でつくられるオゾンが、太陽からの紫外線を吸収するからです。
すなわち、紫外線の吸収に伴って熱エネルギーが生じるため、大気が暖められ、上空ほど気温が上昇します。成層圏には、大気中のオゾンの約90パーセントが存在しています。
このように、成層圏では、オゾン濃度が高いため、オゾン層が形成されます。そして、オゾン層は 地球の生物にとって有害な紫外線を吸収して、地上の生態系を保護しています。
紫外線には、ビタミンDを合成して骨を強くしたり、
細菌やウィルスを殺菌したりする働きがあるけど、
紫外線によって、シミやそばかす、しわが増えるだけでなく、
皮膚がんになったり、遺伝子を傷つけたりもするよ!
日光を浴びるのはほどほどにして、日焼けは避けた方がいいよ!
オゾンとは酸素原子3個からなる気体です。すなわち、高度約20キロメートル以上の上空では、太陽からの紫外線によって、酸素分子(酸素原子2個)が分解して酸素原子になります。
それが別の酸素分子と結合してオゾン(酸素原子3個)がつくられます。一方で、オゾンは、酸素原子と反応して2個の酸素分子になります。その場合、オゾンは消滅します。
すなわち、このような反応によって、オゾン濃度は過度に高くならず、バランスが保たれています。高度約20キロメートルから下では、オゾンはほとんどつくられません。成層圏内の大気の流れによって、オゾンが運ばれていくことはあります。
中間圏
中間圏とは、成層圏界面から高度約90キロメートルまでの上空のことです。中間圏では、高度が高くなるほど、気温は再び低下していきます。そして、高度約90キロメートル付近ではマイナス80~90度になります。この気温は、大気圏を含めた地球上で最も低いものになります。
中間圏では、大気の密度はかなり小さくなり、酸素も大変少ないです。そして、オゾンはほとんどなくなり、オゾンが紫外線を吸収して、熱エネルギーが生じることもなくなります。そのため、高度が上がるにつれて気温は下がっていきます。
熱圏
熱圏とは、中間圏界面から高度約500キロメートルまでの上空のことです。熱圏では、中間圏で低下した気温が、逆に高度が高くなるほど、上昇していきます。すなわち、中間圏でマイナス90度位まで低下した気温が、熱圏では高度が上がるにつれて上昇していきます。
そして、熱圏の上層では、気温が1,000~2,000度にもなります。熱圏では、窒素と酸素の分子が、太陽から放出される紫外線やX線などを吸収するため、温度が上昇します。それによって、光解離(分子が原子に分裂すること)が起こります。
その結果、大気の成分は、窒素と酸素の原子によって多くを占められます。そして、高度150~170キロメートル以上になると、熱圏の大気は酸素原子が主な成分になります。この酸素原子が、紫外線やX線などを吸収して高温になるため、気温が急激に上昇します。
熱圏では、大気の密度は極めて小さいため、
気温が1,000度以上に上昇しても、熱としては感じないんだ!
だから、400キロメートル上空を飛んでいるISS(国際宇宙ステーション)で、
宇宙飛行士が船外活動を行うことができるんだ!
さらに、熱圏では、窒素原子や酸素原子が、紫外線やX線などを吸収して電離(原子や分子が電子を放出したり又は取り入れたりしてイオンになること)を引き起こします。それによって、大気は、主にマイナスの電子と陽イオン(プラスの電気を帯びたイオン)になります。
このように、電離から生じた荷電粒子を含んだ気体をプラズマと呼びます。そして、この電子やイオンの密度が高い部分を電離圏(電離層)と呼びます。すなわち、電離圏は、プラスの電気を帯びたイオンとマイナスの電子を含むプラズマによって形成されています。
ちなみに、電離圏は、高度約60~1,000キロメートルにわたります。すなわち、電離圏は、中間圏の上層から外気圏の下層にまで至ります。そして、電離圏では、オーロラが形成されます。
外気圏
外気圏とは、熱圏界面から高度約10,000キロメートルまでの上空のことです。外気圏では、熱圏の上層の気温とほとんど変わりません。つまり、気温は1,000~2,000度位です。外気圏では、大気は、主として酸素原子、ヘリウム原子、水素原子によって構成されています。
外気圏の低層では、酸素原子が大気の主な成分ですが、高度が高くなるにつれて、大気の主な成分はヘリウム原子、水素原子と変わっていきます。
すなわち、外気圏では、上空に行くほど、軽い元素が主な成分になっていきます。そして、大気は、極めて薄く、重力による影響も小さいので、大気圏外へかなりの量が流出していきます。
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