コラーゲンとは
コラーゲンとは、人の体を構成するタンパク質の一つです。タンパク質は、アミノ酸が多数つながってできています。そして、タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あります。
20種類のアミノ酸は、非必須アミノ酸と必須アミノ酸に分けることができます。非必須アミノ酸は11種類(アルギニン、グリシン、アラニン、セリン、チロシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸)あります。
非必須アミノ酸は、人の体の中で糖質や脂質からつくることができるため、食物から摂る必要がありません。一方、必須アミノ酸は9種類(バリン、イソロイシン、ロイシン、リジン(リシン)、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン(トレオニン)、ヒスチジン、メチオニン)あります。
必須アミノ酸は、人の体の中でつくることができないため、食物から摂る必要があります。そして、コラーゲンは、このアミノ酸の長い鎖が、3本集まって互いに巻き付き、らせん状の構造をつくっています。
コラーゲンを構成するアミノ酸の約3分の1は、非必須アミノ酸のグリシンです。残りのアミノ酸には、アラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン(コラーゲンの中でプロリンが変化したもの)などがあります。
コラーゲンの種類
コラーゲンは、人の体の中でその働きや役割によって29種類に分けられます。代表的なコラーゲンの種類は I~Ⅴ型です。
Ⅰ型は、繊維状で、体の中で最も多いコラーゲンです。皮膚、骨、腱、じん帯、角膜などに含まれています。皮膚のコラーゲンの約90パーセントが I 型コラーゲンです。Ⅱ型は、繊維状で、関節や軟骨に多く含まれているコラーゲンです。Ⅱ型は、眼の角膜や硝子体にも多く含まれています。
Ⅲ型は、繊維状で、血管や皮膚などに多く含まれています。皮膚のコラーゲンはⅠ型(約90パーセント)とⅢ型(約10パーセント)でつくられています。Ⅰ型は太くて硬い構造ですが、Ⅲ型は細くて柔らかい構造です。Ⅲ型は、赤ちゃんの皮膚に多く含まれているので、ベビーコラーゲンと呼ばれています。
Ⅳ型は、膜型で、網のような形をしています。そして、皮膚の表皮と真皮とをつなぎとめる役割を持っています。すなわち、Ⅳ型は基底膜に多く含まれています。基底膜には、上皮の細胞層と間質の細胞をつなぎ合わせたり、細胞の成長を促進したりする働きがあります。
Ⅴ型は、繊維状で、血管、平滑筋、胎盤などに多く含まれています。真皮幹細胞の未分化維持に重要な役割を果たしています。真皮幹細胞には、真皮層にある幹細胞で、消滅したり、傷ついたりした細胞の修復や補充を行う役目があります。
未分化維持とは、様々な細胞になる能力を維持することです。つまり、幹細胞の未分化維持とは、修復や補充のための細胞を生み出す能力を維持することです。
コラーゲンの働き
コラーゲンは、人の体をつくるタンパク質の約30パーセントを占めています。コラーゲンのうち、約60パーセントは皮膚、骨、軟骨にあります。残りは血管や内臓などにあります。
このように、体の中の色々なところにコラーゲンはありますが、特に、皮膚、骨、軟骨にはコラーゲンが多く含まれています。すなわち、皮膚の約70パーセント、骨の約50パーセント、軟骨の約60パーセントはコラーゲンです。
コラーゲンは、体の細胞をつなぎ合わせたり、骨格をつなげたり、皮膚や内臓を支えたりして、体の構造をかたちづくっています。また、コラーゲンには、皮膚にハリや潤いを与えたり、骨、腱、筋肉を丈夫にしたり、血管に弾力を持たせたり、関節の動きを滑らかにしたりする働きがあります。
コラーゲンは、体の様々な組織において、このような重要な働きをしていますが、年齢とともに減少していきます。そして、それは老化の原因となります。
コラーゲンの摂取
コラーゲンを摂取すると、体の中でコラーゲンとして働くわけではありません。コラーゲンは、体の中でアミノ酸とコラーゲンペプチドに分解されます。コラーゲンペプチドとは、コラーゲンが酵素で分解されて、分子量が小さくなったものです。
これにより、体内に吸収されやすくなります。コラーゲンをつくっている3本のアミノ酸の鎖が溶けると、ゼラチンになりますが、コラーゲンペプチドはさらに細かくなった状態です。アミノ酸同士が一定の規則でつながることをペプチド結合と呼びます。
すなわち、ペプチドとは、アミノ酸が2個以上結合したものです。2個が結合した場合はジペプチド、3個結合の場合はトリペプチドと呼びます。そして、2~10個程度のアミノ酸が結合したものをオリゴペプチドと総称します。
コラーゲンペプチドは、体内でオリゴペプチドとして吸収されます。そして、吸収されたアミノ酸とオリゴペプチドは、血液を通して体全体に運ばれて行きます。
アミノ酸は、コラーゲンを含むタンパク質をつくるための材料になります。オリゴペプチドには、皮膚の真皮層にある繊維芽細胞(せんいがさいぼう)を活性化させる働きがあります。
線維芽細胞には、皮膚にハリと弾力を与えるコラーゲンや潤いを保つヒアルロン酸などの成分をつくったり、古くなったコラーゲンなどの成分を分解して、皮膚の新陳代謝を促進したりする役割があります。
体内でコラーゲンをつくるには、アミノ酸のほかにビタミンCと鉄分が必要です。これらの栄養素を効果的に摂取するよう心掛ける必要があります。
コラーゲンを増やす食物
コラーゲンを増やすには、アミノ酸、ビタミンC、鉄分が必要ですが。特に必須アミノ酸は、体内でつくることができないので、食物から摂取する必要があります。そのため、これら3つの栄養素が多く含まれている食物を次に紹介します。
必須アミノ酸が多く含まれている食物とは、動物性のタンパク質を多く含む食材です。すなわち、牛乳、鶏卵、牛肉、豚肉、鶏肉、さけ、まぐろ、あじ、いわしなどです。植物性のタンパク質では、大豆が必須アミノ酸を多く含んでいます。
ビタミンCが多く含まれている食物は野菜や果物です。特に、野菜ではパブリカ、ブロッコリー、カボチャなどです。果物ではアセロラ、キウイフルーツ、イチゴ、柑橘類などです。また、イモ類にもビタミンCが多く含まれています。
食物に含まれている鉄分はヘム鉄と非ヘム鉄に分けられます。ヘム鉄には、体内での吸収率が高いという特徴があります。ヘム鉄は、レバーや牛肉などの赤身肉、カツオやマグロなどの魚に多く含まれています。
一方、非ヘム鉄は、体内での吸収率がとても低いです。非ヘム鉄は、大豆や枝豆などの豆類、小松菜やほうれん草などの野菜、ひじき、牛乳、卵などに多く含まれています。非ヘム鉄は、ビタミンC、クエン酸(酢や柑橘類に含まれる酸味成分の一種)又はたんぱく質と一緒に摂取すれば、吸収率が上がります。
コラーゲンを多く含む食物
コラーゲンを摂取すると、体の中でアミノ酸やコラーゲンペプチドに分解されます。コラーゲンペプチドは、体内でオリゴペプチドとして吸収されます。
すでに解説したように、オリゴペプチドには、コラーゲンやヒアルロン酸などの成分をつくったり、肌の新陳代謝を促したりする繊維芽細胞を活性化させる働きがあります。すなわち、コラーゲンを摂取すると、肌の若返りが期待されます。
コラーゲンを多く含む食物には、手羽先、鶏の皮、軟骨、牛スジ、豚バラ肉、豚足、うなぎ、スッポン、なまこ、カレイ、エビ、くらげ、フカヒレ、エイヒレ、魚の皮などがあります。
また、ゼラチンは牛や豚のコラーゲンからつくられているので、ゼラチンを使った加工品にもコラーゲンは多く含まれています。例えば、ゼリー、プリン、ババロア、マシュマロ、グミなどの菓子類がありますが、糖分も多いので、注意が必要です。
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