
パートⅠでは炭水化物とたんぱく質について解説するね!パートⅡでは脂質について解説するよ!パートⅢではミネラルについてだよ!そして、パートⅣでビタミン(脂溶性ビタミン)、パートⅤでビタミン(水溶性ビタミン)について解説して五大栄養素だよ!
三大栄養素と五大栄養素
栄養とは、生き物が、食物などを摂取して体内で消化・吸収することによって、生命を維持したり、成長したり、活動したりする一連の営みのことです。そして、この栄養の源となる成分が栄養素です。すなわち、私たちは、食事から必要な栄養素を体内に取り込みながら、生活しています。
食べ物に含まれている栄養素のうち、炭水化物、たんぱく質、脂質を三大栄養素と呼んでいます。これらの栄養素は、体を動かすために必要とするエネルギーをつくり出します。そのため、三大栄養素はエネルギー産生栄養素とも呼ばれています。すなわち、三大栄養素は、私たちの脳、臓器、筋肉などが機能するためのエネルギーをつくり出すうえで、重要な役割を果たしています。

そして、五大栄養素とは、この三大栄養素にミネラルとビタミンを加えたものです。たんぱく質とミネラルは主に体をつくるうえで欠かせない栄養素です。すなわち、たんぱく質は、皮膚、筋肉、臓器などの体の組織をつくる栄養素です。ミネラルは歯や骨をつくる栄養素です。また、ミネラルとビタミンは主に体を正常に機能させるうえで必要な栄養素です。
このように、五大栄養素は、人が健康に生活していくうえで欠かせない栄養素ですが、摂りすぎると、内蔵に負担をかけるだけでなく、健康を害することにもなる栄養素もあります。健康の増進を図るためには、偏食せず、まんべんなく食べることが重要です。
炭水化物
炭水化物は、エネルギー産生栄養素として炭水化物1グラムで約4カロリーのエネルギーをつくり出します。そして、炭水化物は、炭素と水素の化合物で、酵素の働きによってエネルギー源となる糖質と食物繊維に分解されます。食物繊維は体内で消化・吸収されません。そのため、食物繊維は、エネルギー源にはならず、体の外へ便として排泄されます。

炭水化物は穀類、イモ類、果物に多く含まれています。そして、次の食品は炭水化物に糖質を多く含んでいます。穀類ではごはん、パン、麺です。イモ類ではジャガイモとサツマイモです。果物ではパイナップル、ブドウ、バナナー、マンゴーです。また、カボチャとレンコンは野菜ですが、炭水化物を多く含んでいます。また、豆類も炭水化物を含んでいます。
炭水化物の糖質
糖質は糖類と多糖類に分けられます。糖類には単糖類と二糖類があります。単糖類のうちブドウ糖は体内の多くの細胞でエネルギー源として利用されます。多糖類にはでんぷんなどがあります。でんぷんはブドウ糖が非常に数多く鎖のように連結したものです。そのため、でんぷんは、体内に入ると、消化酵素の働きによってブドウ糖に分解されてから吸収されます。
吸収されたブドウ糖は血液とともに体全体の細胞に運ばれます。この血中のブドウ糖の濃度が血糖値です。そして、血糖値は一定の濃度に保たれている必要があります。体中に運ばれたブドウ糖は脳、内蔵、筋肉などを動かすためのエネルギー源として利用されます。
特に、脳はブドウ糖のみをエネルギー源として利用しています。そのため、ブドウ糖が不足すると、脳の機能が低下して思考力や集中力が衰えます。また、体内で余ったブドウ糖は、肝臓や筋肉などでグリコーゲンに合成されて蓄えられます。ブドウ糖がさらに余っているときは、脂肪に変えて蓄えることになります。

体内でエネルギー源として利用されるときは、糖質が優先されるので、脂肪は分解されてエネルギーになるまで時間がかかります。そのため、体脂肪が増えてしまうと、減らすのは難しくなります。体脂肪が余分に増えると、肥満、糖尿病、高血圧、がんなどの生活習慣病の原因にもなります。一方、血中のブドウ糖が不足してくると、蓄えられていたグリコーゲンがブドウ糖に分解されてエネルギー源として利用されます。
グリコーゲンが不足すると、体脂肪が分解されてエネルギー源として利用されます。さらに不足すると、筋肉などのたんぱく質が分解されてエネルギー源として利用されることになります。そして、血中にブドウ糖が不足すると、疲れやすくなったり、集中力が低下したり、判断力が鈍くなったりします。脳へのエネルギー不足が深刻になると、意識障害が起こる可能性があります。
炭水化物の食物繊維
はじめに、炭水化物が糖質と食物繊維に分解されることを解説しましたが、食物繊維は健康を維持するうえで重要な役割を果たしています。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。水溶性食物繊維は、水に溶けやすく、小腸で糖質などの吸収を緩やかにします。そのため、食後の血糖値の上昇を抑える効果があります。
また、水溶性食物繊維は、コレステロールやナトリウムなどを吸着して便として排泄するので、血中のコレステロール値を低下させたり、血圧の上昇を抑制したりする働きがあります。そのため、動脈硬化や高血圧を予防する効果が期待できます。さらに、水溶性食物繊維は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌のエサになるので、善玉菌を増やして腸内環境を改善します。

不溶性食物繊維は、水に溶けにくいので、水分を吸収して便の量を増やし排便を促します。つまり、便秘を改善します。また、不溶性食物繊維は、有害物質を吸着して便として排泄するので、大腸がんを予防する効果が期待できます。このように、食物繊維は様々な生活習慣病を予防することが期待されています。
たんぱく質
たんぱく質は、エネルギー産生栄養素として1グラムで約4カロリーのエネルギーをつくり出します。しかし、エネルギー源としては炭水化物(糖質)が優先的に使われます。したがって、糖質が不足するとき、脂質、たんぱく質の順でエネルギー源として使われます。

たんぱく質は、エネルギー源よりも体の組織などの材料として優先的に使われます。たんぱく質は、アミノ酸が鎖状に多数連結してできた高分子化合物(分子量が約1万以上の巨大な化合物)です。アミノ酸は主に水素、炭素、窒素、酸素から構成されています。食事から摂取されたたんぱく質は体内でアミノ酸に分解されてから吸収されます。
アミノ酸
たんぱく質は20種類のアミノ酸によって構成されています。20種類のアミノ酸のうち、11種類(非必須アミノ酸)は体内で他のアミノ酸から合成することができます。一方、9種類は体内で合成することができません。そのため、これらのアミノ酸を食べ物から摂取する必要があります。これらを必須アミノ酸と言います。
非必須アミノ酸には、アルギニン、グリシン、セリン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、プロリン、シスチン、チロシンの11種類があります。必須アミノ酸には、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファンの9種類があります。

この必須アミノ酸を多く含む食品には牛乳、肉、魚、卵、大豆などがあります。体内では、アミノ酸の種類や配列などの違いによって様々なたんぱく質が合成されています。そして、人の体は約10万種類のたんぱく質から構成されています。
すなわち、たんぱく質は、毛髪、歯、爪、皮膚、血液、筋肉、臓器などの体のあらゆる組織をつくる材料として必要な栄養素です。さらに、たんぱく質は、ホルモン、酵素、免疫物質、神経伝達物質などをつくる材料の役割も果たしています。
たんぱく質の不足
たんぱく質が不足すると、筋力が低下するため、日常生活に必要な運動機能が低下したり、体がゆがんだりします。すなわち、筋肉にはたんぱく質が多く蓄えられています。そのため、体に必要なたんぱく質が不足すると、筋肉のたんぱく質を使うことになります。その結果、筋肉量が減少します。
筋肉量が減少すると、内蔵の不調、肩こり、腰痛などの症状が現れることがあります。また、筋肉量の減少は基礎代謝を低下させます。基礎代謝とは、呼吸、心拍、体温維持などの生きていくために必要な最低限の機能を働かせるエネルギーのことです。基礎代謝が低下すると、このエネルギーの消費が減るため、太りやすくなります。

また、たんぱく質が不足すると、免疫力の低下を招くため、細菌などの感染によって病気や体の不調が起こったり、肌のシワやタルミが増えたり、髪が弱くなったり、傷が治りにくくなったりします。さらに、たんぱく質の不足によって神経伝達物質が十分に生成できなくなると、集中力や思考力が低下したり、イライラするなどの症状が起ったりします。
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