睡眠の仕組み
人は、睡眠欲求と覚醒力によって睡眠と覚醒を繰り返しています。脳は、覚醒している間に疲労(熱)が溜まっていきます。そのままでは脳に支障が生じるので、脳に溜まった疲労を回復する(熱を冷ます)ために睡眠が必要になります。
このように、人は、長く起きていると眠くなるように、睡眠時間が少ないと睡眠欲求を強く感じますが、十分に眠ると睡眠欲求を感じなくなります。また、人は、覚醒力によって日中は起きて活動しています。覚醒力は、脳の体内時計によってコントロールされています。体内時計は、朝の光とともに覚醒の時間になります。
すなわち、体内時計が、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌を止めるように指示します。覚醒力は、起床してから徐々に強くなり、寝る数時間前に最も強くなります。そして、眠る時間になると、再びメラトニンが分泌されます。その結果、覚醒力は急速に弱まり、眠気を感じるようになります。
睡眠の必要性
睡眠は、脳の休息や疲労回復のために必要です。また、記憶の整理や定着のためにも必要です。睡眠が不十分なときは、疲労を感じたり、意欲や集中力を失ったり、イライラしたりします。つまり、脳の機能に不調が生じているため、脳は休息を必要としています。
快適な毎日を過ごすためにも、十分な睡眠をとることはとても大切です。十分な睡眠は人によって違います。一般的に、年齢とともに睡眠時間は短くなっていきます。そのため、眠る時間にこだわる必要はありません。日中に眠気や疲労を感じないで、元気に過ごせるならば、十分な睡眠をとったことになります。
睡眠の種類
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。
レム睡眠とは、浅い眠りで、睡眠中に眼球がよく動いているのが特徴です。脳が活動している状態で、レム睡眠のときに夢を見ていることが多いと言われています。目覚める時間が近づくにつれて、レム睡眠になります。そして、レム睡眠の時間も長くなっていきます。
また、レム睡眠では、脳は活動していますが、身体の筋肉は弛緩して休んでいる状態です。この状態のときに、動きたくても動けないという金縛りの夢を見ることがあります。
ノンレム睡眠とは、深い眠りで、眼球はほとんど動いていません。ノンレム睡眠では、脳の活動は低下して休んでいますが、眠りの深さによって、N1、N2、N3の3段階に分かれています。これは、比較的浅い睡眠から深い睡眠を示しています。
睡眠の前半では、ノンレム睡眠の深い状態(N3)になります。それから、浅いノンレム睡眠(N2、N3)になります。朝方には、レム睡眠の時間が増えていきます。そして、目覚める時間に向けて、睡眠は全体的に浅くなっていきます。
このような2種類の睡眠にはサイクルがあります。 レム睡眠とノンレム睡眠は、約90分の周期で4回又は5回位繰り返します。一晩の睡眠において、前半の深い眠りによって脳を休ませ、後半の浅い眠りによって身体(筋肉)を休ませます。そして、朝の覚醒に向けて、睡眠はさらに浅くなっていき、覚醒の準備を整えます。
質の良い睡眠
健康のために質の良い睡眠をとることが大切です。例えば、毎日、規則正しい就寝と起床を行えること、寝床に入って、すぐに眠れること、必要な睡眠時間がとれること、睡眠中に目覚めることなく、朝まで安定して眠れること、朝の目覚めが良いこと、日中に眠気を感じないことが良い睡眠の条件になります。
では、良い睡眠をとるにはどうしたらよいか?
昼寝はなるべく避けて、毎日、習慣的に運動を行います。例えば、ウォーキングやヨガなどの激しくない運動を行うのが良いでしょう。掃除や買い物などの家事もしっかり行うと、適度な運動になります。就寝の2~3時間前には夕食を済ませます。寝る前にお酒やコーヒーなどの飲み物やお菓子などの食べ物は避けるべきです。
寝る直前や寝床でスマートフォンやタブレットなどを見るのは避けるべきです。特に、起きているときに行っていたことを寝床に持ち込むと、覚醒モードになり、眠りの妨げになります。寝るときと、起きているときのメリハリをつけることが大切です。
他方、寝床に入ってから、早く寝ることにあまり意識を向けて、瞼をギュッと閉じるなどの行為をするのは禁物です。身体に力が入り、かえって眠りの妨げになります。寝床ではリラックスすることが大事です。
コメント