夢とは
夢とは、様々な記憶が組み合わされて描かれるエピソードです。脳に残された記憶には、無意識のうちに目に入った人、動物、乗物、建物、景色など、そして、無意識のうちに聞き取った会話などから想像するものも含まれることがあります。そのため、夢には、見慣れないところで、知らない人と親しくしたり、親しい人に無視されたりする場面も出てきます。すなわち、脳は、記憶している様々な情報のうち、いくつかの情報を引き出して、映像として結び付けて夢の物語をつくり上げます。それは、何年も又は何十年も前の記憶が、最近の記憶と結びつくこともあります。そして、そこには、無意識又は想像上の記憶などが含まれることもあります。

そのため、夢には、辻褄の合わない、訳が分からない場面が出てくることもあります。脳がつくり出す記憶の映像は、眠っているときに脳が受けている情報(信号)によっても影響されます。たとえば、睡眠中に、血糖値が下がって身体が糖分を欲しているという情報が脳に強く伝われば、子供のときの一家団欒の中でケーキを囲む夢を見るかもしれません。そこには、当時の若い両親や幼い兄弟姉妹が登場するかもしれません。たとえば、自分が子供のときの母がテーブルにケーキを置いています。でも、そこは自分が勤めている会社の会議室です。そして、なぜか知らない人が席に座っています。自分の妻や子供たちもいます。「あれ、ママ!どうしたの?」と妻に話しかけても、返事はありません。
そのうち、ケーキが配られますが、自分の分はありません。「どうして僕のケーキはないの?」と母に尋ねると、「大人は我慢しなさい」と言われます。そのとき、会議室のドアが開いて、たくさんの人が入ってきます。驚いて、「そんなにたくさんのケーキはないよ」と叫んで夢から覚めます。このように、夢の中には、脳が現在強く受けている情報(糖分の不足)や過去と現在の記憶からランダムに引き出された事柄が入り組んで含まれていることがあります。また、うつ伏せで眠っているとき、呼吸が苦しくなってくると、その苦しいという情報が脳に伝わります。その結果、脳は、呼吸が苦しかったという記憶を引き出して、夢のエピソードをつくり上げるかもしれません。

そして、その記憶は必ずしも経験したことである必要はありません。たとえば、人が溺れて苦しんでいる場面を映画などで見たとき、それが強く脳に記憶されていれば、脳は、その記憶を引き出して、水の中に沈んで呼吸ができなくなるという夢をつくり上げるかもしれません。脳は、正常に働いている限り、外部からの刺激(情報)を受けにくい睡眠状態の中で、断片的な記憶を取り出して、その記憶の整理や定着を行います。すなわち、脳は、バラバラな記憶を組み合わせて夢というストーリーをつくることによって、記憶という自ら(脳)の働きに秩序を与えています。つまり、脳は、夢をつくり上げることによって、自らの機能の正常化に努めています。
夢のメカニズム
睡眠には、レム(REM)睡眠とノンレム(non-REM)睡眠という2種類があります(「【睡眠は大切!】睡眠の仕組みや質の良い睡眠についてわかりやすく説明!」を参照)。レム睡眠では、体は休んでいますが、脳は活動して記憶の整理などを行っています。そして、ノンレム睡眠では脳と体の両方が休んでいます。ノンレム睡眠は、浅い眠りから深い眠りまでをN1、N2、N3という3つの段階に分けることができます。すなわち、夜の睡眠はN3の深い眠りから始まって、徐々にN2やN1の浅い眠りに移っていきます。それから、レム睡眠に移ります。睡眠中はこのサイクルを数回繰り返しますが、朝方になると、レム睡眠が増えて目が覚めます。脳が活動しているレム睡眠中には、眼球も活発に動いています。

これを急速眼球運動(Rapid Eye Movement)と呼んでいます。ちなみに、レム(REM)はRapid Eye Movementの頭文字をつなげた略語です。また、レム睡眠中には呼吸や心拍なども変動しています。このとき、人は夢を見ています。すなわち、目が脳がつくり出す記憶の映像を見ています。そして、この急速眼球運動が活発になるほど、鮮明で感情を伴った夢を見ていると考えられています。また、ノンレム睡眠中でも夢を見ますが、その夢は、断片的で不明瞭であるため、覚えていないと考えられています。したがって、私たちが夢と言っているのは、レム睡眠中に見る夢のことです。

レム睡眠中に夢を見るとき、脳の視覚野が活動しています。視覚野は、大脳皮質の後頭葉(頭の後頭部)にあります。そして、目に入った視覚情報を網膜から受け取って、形、色、動きなどを記憶する働きを行っています。通常、瞼を閉じているような暗闇では、眼球を動かしても、視覚情報が入らない限り、視覚野は活動していません。しかし、レム睡眠中は、瞼を閉じているので、暗闇で眼球が動いている状態ですが、視覚野は活発に働いています。すなわち、脳は、自らつくり上げた夢という映像を目で見ているのです。また、レム睡眠中に夢を見るときは、視覚野以外でも、海馬や扁桃体(へんとうたい)という脳の部位も活動しています。

海馬は記憶の仕分けなどを担当しています。扁桃体は恐怖や怒りなどの強い感情に対処する役割を果たしています。一方、頭の額のところにある脳の前頭葉の前頭前野は活動を低下させています。前頭前野には、考えたり、判断したり、感情をコントロールしたりするなどの働きがあります。すなわち、人が理性的に行動するために必要な脳の部位です。辻褄の合わない、非現実的な夢をよく見るのは、この前頭前野の働きが抑えられていることが原因であると考えられています。脳は、身体全体をコントロールする最も精密な臓器です。脳は、夢という不思議な現象を通して、自らの機能のメンテナンスを行っていると考えられています。

扁桃体は、感覚器官から入ってくる情報に対して即座に反応するんだ!そして、身体にとって危険や不快なものと判断した場合には、身体に警報を出す脳の部位だよ!すなわち、人は、ストレスなどを感じると、扁桃体が敏感に反応して交感神経を刺激するんだ!その結果、身体に変調が起こるんだ!たとえば、人は、危険を感じたり、不快な場面を見たり、不公平な扱いを受けたり、環境になじめなかったりすると、ストレスを感じるよね!
その結果、緊張したり、イライラしたり、呼吸が荒くなったり、心臓がドキドキしたりするよね!これは、扁桃体が、交感神経を活性化させて、直面している問題と闘うか、その問題から逃げるかのようなストレス反応を身体に引き起こしているんだ!だから、恐怖や怒りの感情は、扁桃体がその状況を克服する準備を身体にさせているということだよ!一方、前頭前野は、この状況を冷静に判断して強い感情を抑制する役割を果たしているんだ!

自律神経には、交感神経と副交感神経があって、それぞれが反対の方向に働いているんだ!そして、これらの2つの神経がバランスを保って働いていると、身体の健康が維持できるんだよ!すなわち、交感神経は、活動したり、緊張したりするときに活発に働くんだ!一方、副交感神経は、リラックスしたり、休息したりするときによく働くんだ!
たとえば、遊園地で、ジェットコースターを苦手としている人がそれに乗ると、緊張したり、心臓がドキドキしたり、手のひらなどに汗をかいたり、悲鳴をあげたりするよね!このとき、交感神経が活発に働いて、身体は、ジェットコースターという恐怖のストレスと闘っているんだ!そして、降りて休息すると、緊張はほぐれ、心臓のドキドキはおさまり、汗は引いて、リラックスできるよね!つまり、副交感神経がよく働いているからだよ!
悪夢のメカニズム
悪夢の定義は人によってそれぞれ違いますが、一般的には、恐怖や不快が伴う夢を見たとき、悪夢を見たと感じます。恐怖や怒りなどの強い感情に対処しているは脳の扁桃体です。そのため、扁桃体が過剰に活動しているとき、夢は悪夢になると考えられています。たとえば、人が強いストレスを抱えて眠りにつくと、脳内では、前頭前野の活動が抑えられている一方で、扁桃体が過剰に活性化されます。そのため、記憶に残っている恐怖や不快な体験、場面、想像などが夢のエピソードをつくり上げることになります。

その際、夢の組立として、ランダムに断片的な記憶を組み合わせるため、辻褄の合わない、訳の分からないストーリーとなった悪夢がつくり上げられることもあります。通常、睡眠中は副交感神経が働くため、身体は休息したり、リラックスしたりしますが、扁桃体が過剰に働くと、交感神経が刺激されるため、緊張したり、心臓がドキドキしたり、汗をかいたりします。そのため、悪夢を見ると、身体がこわばったり、呼吸が荒くなったり、寝汗をかいたり、寝言で叫んだりすることもあります。






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