【EUとは?】ユーロに象徴されるヨーロッパ諸国の統合体!欧州連合について解説!

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EU

EUは、European Union(欧州連合)の略称で、マーストリヒト条約(欧州連合条約)によって創設されました。EUとは、ヨーロッパ諸国が経済的・政治的な協力関係を構築した統合体のことです。そこでは、経済・通貨同盟、共通の外交・安全保障政策、警察・刑事司法の協力などの経済・政治の分野における統合や協力を進めています。

すなわち、経済・通貨同盟においては、EU加盟国は主権の一部をEUに委譲しています。これにより、EUは、世界最大の単一市場として、EU域外に対して統一的な通商政策を実施しています。共通の外交・安全保障政策においては、加盟国の権限を前提としつつも、対外的にEUとしての共通の立場を示しています。警察・刑事司法の協力においては、EUとして、犯罪を防止・撲滅するため、欧州逮捕状、欧州警察機関や欧州検察機関などの制度があります。

現在のEU加盟国は次の27か国です。ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、 キプロス、ラトビ ア、リトアニ ア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、フィンランド、スウェーデン

EUの総面積は、約430万平方キロメートルで、日本の約11倍になるよ。

そして、総人口は、約4億4,700万人で、日本の約3.6倍だね。

EUの主な組織

欧州理事会は、最高意思決定機関として、欧州理事会常任議長、EU各国の首脳、欧州委員会委員長によって構成されています。欧州理事会は、通常、年4回開催され、政治的な方針を策定したり、外交・安全保障政策を決定したりします。

EU理事会には、一般問題理事会、外相理事会、経済・財務相理事会、司法・内務理事会、雇用・社会政策・健康・消費者問題担当相理事会、競争担当相理事会、運輸・通信・エネルギー担当相理事会、農水相理事会、環境相理事会、教育相理事会があります。EU各国の担当閣僚によって構成されています。主としてEUの立法作業を担当します。

欧州委員会は、行政執行機関として、法令や政策を提案したり、規則などの適用を監督したり、欧州理事会の決定事項を執行したりします。加盟国の合意に基づき、欧州議会の承認を受けた委員で構成されています。委員は、各国1名の27名で、任期5年です。

欧州対外活動庁(EEAS)は、外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長を補佐する組織です。EEASには、アジア・太平洋、アフリカなどの地域や国際・多国間協調などの課題ごとに部局が設けられています。そして、世界中に130以上あるEU在外代表部を管轄しています。

また、EEASは、外務・安全保障政策上級代表の指揮の下で、EUの外交分野における政策の一貫性を担保するため、加盟国とEU機関との間で調整を行います。すなわち、EEASは、EUの対外関係を構築するうえで重要な役割を果たしています。

欧州議会は、705名(2024年6月まで)の議員によって構成されています。議員は、加盟国の有権者が比例代表制の直接選挙で選出します。そのため、議員は、EU域内において国を越えて政治的な党派を結成しています。そして、各加盟国の人口比に基づいて議員の数が配分されています。

議員の任期は5年です。加盟国の国会議員との兼職も認められています。欧州議会は、もともとは諮問的な役割を担う機関でしたが、その権限は徐々に強化されてきました。具体的には、政策分野の大部分の法案について欧州議会とEU理事会が共同で決定することができます。

また、欧州議会には、予算案を否決したり、予算の執行を監視したり、決算を承認したりする権限のほか、特定分野の国際協定を承認する権限もあります。さらに、欧州議会は、欧州委員会の委員を承認する権限があります。

欧州連合司法裁判所には、司法裁判所、一般裁判所、専門裁判所があります。司法裁判所には、一般裁判所の上級裁判所としての役割があります。そして、司法裁判所は、EUの最高司法機関で、EU法の解釈や同法の問題について最終決定権を持っています。

そのため、司法裁判所は、各加盟国の裁判所が求めた場合には、EU法上の解釈などについて先行判決を行います。また、司法裁判所は、加盟国がEU法上の義務を履行しない場合には,欧州委員会の請求を受けて違法状態の認定などを行います。司法裁判所は、各加盟国から1名の裁判官とその裁判官を補佐する法務官により構成されています。任期はそれぞれ6年です。

一般裁判所は、EUに関する一定の訴訟を管轄するとともに,事実審として機能しています。一般裁判所は、各加盟国から最低1名の裁判官により構成されています。専門裁判所は、一審として、特別の分野で提起される特定の種類の訴訟を担当します。

EUの沿革

1950年、フランス外相のロベール・シューマンは、シューマン=プランという「欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)」の構想を提唱しました。これは、紛争を繰り返すフランスとドイツの関係を終わらすため、軍事力の基礎となる石炭と鉄鋼という産業部門を共同管理することを目的としていました。

1952年、1951年にベルギー、フランス、西ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、オランダの6か国により調印されたパリ条約に基づき、ECSCが設立されました。

1958年、6か国によって調印されたローマ条約に基づき、欧州経済共同体(EEC)、欧州原子力共同体(EURATOM)が設立されました。

1967年、ブリュッセル条約が発効しました。ECSC、EEC、EURATOMのそれぞれの行政執行機関と意思決定機関は、1つの委員会と理事会に統合されて、欧州共同体(EC(s): European Communities)が発足しました。

1968年、EC(s)に加盟している6か国は、EC(s)域内における関税を撤廃するとともに、EC(s)域外に対する関税を共通にするための関税同盟を完成しました。

1973年、EC(s)に英国、アイルランド、デンマークが加盟しました。

1979年、EC(s)に加盟している9か国において、直接普通選挙による初めての欧州議会の選挙が実施されました。欧州議会は、1962年にその名称に改められました。また、加盟国の通貨相互間の為替レートを安定化させるため、欧州通貨制度(EMS)が導入されました。

1981年、ギリシャがEC(s)に加盟しました。

1986年、スペイン、ポルトガルがEC(s)に加盟しました。

1987年、単一欧州議定書が発効しました。この議定書には、EC(s)域内において人、物、サービスや資本を自由に移動できる単一の市場を1992年末までに実現することが盛り込まれました。

1993年、欧州連合(EU)条約(マーストリヒト条約)が発効しました。同条約は、EUを3本柱の構造で定義しました。第1の柱は3つの共同体です。そのうちのEECは、経済以外に社会、環境政策分野でも権限を持つようになったため、欧州共同体(EC: European Community)に名称を変更しました。同時にその設立条約はEC設立条約に変更されました。

第2の柱は、外交と軍事のための共通の外務・安全保障政策です。第3の柱は、犯罪対策などのための司法・内務の協力です。また、条約には、単一通貨ユーロを導入するための経済・通貨同盟(EMU)を実現する手順、移動の自由や基本的な権利を認めるための欧州市民権の導入などが盛り込まれました。

1994年、EUと欧州自由貿易連合(EFTA)は、統一の自由貿易圏を形成するとともに、広範な共同市場を構築するため、欧州経済領域(EEA)を発足させました。ただし、EFTA加盟国のうち、スイスを除く、オーストリア、リヒテンシュタイン、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンが参加しました。

1995年、オーストリア、スウェーデン、フィンランドがEUに加盟しました。

1999年、EMUは、最終段階の第3段階に移行して、単一通貨のユーロが導入されました。そして、欧州中央銀行による一元的な金融政策が開始されました。 

1999年、アムステルダム条約が発効しました。同条約は、EU条約とEC設立条約を改正して、マーストリヒト条約で規定されたEUの3本柱を強化しました。すなわち、欧州議会の権限、共通の外交・安全保障政策、警察・刑事司法の協力がそれぞれ拡大されました。また、同条約には、雇用政策、個人の権利、国境検査の不要(シェンゲン協定)、EUの機構改革なども盛り込まれました。

2002年、ユーロの紙幣と硬貨の流通が開始されました。また、ECSC設立条約が失効して、ECSCは解消しました。そして、ECSCの全権限と責務はECに引き継がれました。

2003年、ニース条約が発効しました。同条約は、EUの基本条約(EU条約、EC条約、EURATOM条約)を改正したものです。そこでは、東欧諸国などが加盟することによるEUの拡大に向けて、EUの意思決定手続きの効率化を図るため、機構改革が行われました。

すなわち、欧州議会については、議席の数や配分が見直されました。欧州理事会については、特定多数決の条件や可決の票数などが変更されました。欧州委員会については、定員の見直し、加盟国への委員配分の変更、任命手続の変更、委員長の権限強化が行われました。

2004年、ポーランド、チェコ、ハンガリー、エストニア、ラトビア、リトアニア、マルタ、キプロス、スロバキア、スロベニアの10か国がEUに加盟しました。

2007年、ブルガリア、ルーマニアがEUに加盟しました。

2009年、リスボン条約が発効しました。リスボン条約によって、マーストリヒト条約の3本柱の構造は解消されました。そして、EC設立条約は欧州連合の機能に関する条約に変更されました。また、EURATOMは、EUの枠外の組織になりました。

同条約には、欧州理事会の決定方式が原則として全会一致から特定多数決方式に変更されたこと、欧州議会の権限がさらに強化されたこと、常任の欧州理事会議長と外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長のポストや欧州対外活動庁が新設されたこと、EUを脱退する手続きが設けられたことなどが盛り込まれました。

2013年、クロアチアがEUに加盟しました。

2020年、英国がEUを離脱しました。


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