円安
円安は、外国の通貨に対して円の価値が下がることです。外国通貨は色々ありますが、以下の解説では、基軸通貨(国際取引で広く使用され、各国の通貨の価値基準にもなっている通貨)である米国のドルを例として解説します。
例えば、「数年前は、1ドルを100円で交換しました。でも、今は、1ドルを150円で交換しています。」という話を聞けば、「円安」ということになります。そして、円安は、私たちの生活に色々な影響をもたらします。
輸入品への影響
例えば、1ドルを100円で交換していたときは、1ドルの輸入品を100円で購入できました。一方、円安で1ドルを150円で交換しているときは、同じ品物を買うために、150円を支払わなければなりません。つまり、50円の値上がりになります。
すなわち、日本では、石油などの燃料や小麦粉などの原材料をはじめ、色々なものを外国から輸入して、販売したり、加工したりしています。そのため、円安になると、石油製品や食品をはじめ、様々なものが値上がりすることになります。
例えば、輸入品である小麦粉などの原材料を加工して、食品を生産し、販売している企業は、円安によって小麦粉などの仕入れ価格が上昇するため、同じ利益を得るためには、加工した食品の値段も上げる必要があります。
値上げによって、売上が減少すれば、企業の利益は下がることになります。それは、社員の給料が上がらない原因にもなります。すなわち、円安は、輸入品を利用している企業の社員にとっては、物価が上がる一方で、給料は増えない、という現象が生じる可能性があります。
輸出品への影響
一方、日本から外国に商品などを輸出している企業の場合、例えば、日本で収穫した果物をアメリカに輸出して、10ドルで販売した場合、1ドルが100円のときは、10×100＝1,000円を得ることができました。そして、円安で1ドルが150円になれば、10×150＝1,500円を得ることができます。
すなわち、このような商品を輸出している会社は、以前に比べ、商品が一つ売れるごとに、500円多く得ることができます。また、円安で1ドルが150円になっても、円安前の1,000円を得ることを目的として、同じ商品をアメリカで販売する場合には、値段を10ドル以下(例えば、7ドルにすれば、7×150＝1,050円)にすることができます。
そして、商品の販売価格を10ドルから7ドル以下すれば、価格競争力が高まり、売上も増えることになります。そのため、このような企業の売上は上昇して、そこで働いている社員の給料も増える可能性があります。
資産への影響
外貨預金をしている場合、例えば、1ドルが100円のとき、100ドルを預金するため、100×100＝10,000円を支払いました。それが、円安で1ドルが150円になれば、預金を引き出すときには、100ドルの預金を150円/1ドルの為替レートで換算することになります。
つまり、100×150＝15,000円を得ることができます。もちろん、ドルを円に換算するとき、利息がついていれば、利息を含めた金額で、ドルから円に換算されることになります。
すなわち、預け入れたときの為替レート(例えば、100円/1ドル)よりも円安(例えば、150円/1ドル)になり、そして、その為替差益が大きければ大きいほど、引き出す際には、利益が増えることになります。このような円安の効果は、外貨預金だけでなく、外国の株式や債券などの外貨建ての資産にも当てはまります。
海外旅行への影響
例えば、数年前にアメリカのロサンゼルスに旅行したとき、カードで1,000ドルを使いました。帰国して請求された金額は、1ドルが100円の為替レートでしたので、1,000×100＝100,000円になりました。
しかし、円安で1ドルが150円の為替レートになれば、1,000ドルの支払いは、150×1,000＝150,000円になります。このように、円安のときに海外旅行をすれば、円安になる前に比べて、出費は増えることになります。
観光地への影響
外国人の観光客が日本に来るとき、円安になれば、円安前に比べて、多くの円を交換できることになります。例えば、1ドルが100円のときは、100ドルを円に交換すると、100×100＝10,000円になります。一方、円安で1ドルが150円になれば、100×150＝15,000円になります。つまり、5,000円分多く交換できます。
すなわち、円安になれば、外国から多くの観光客が日本を訪れることが見込まれます。そのため、観光関係の企業や施設などは、収益を増やすことができます。そこで働いている社員の給料が増えることにもつながります。
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