【アイぺフ(IPEF)!】インド太平洋での経済的枠組み!わかりやすく解説!

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国際・政治

アイぺフ(IPEF)の立上げ

2022年5月、米国のバイデン大統領が訪日した際に、米国が主催して、インド太平洋経済枠組み(IPEF: Indo-Pacific Economic Framework)という新たな経済圏構想を立ち上げるための会合が開催されました。

アイぺフとは、インド太平洋地域における経済的な連携及び協力について交渉・妥結をするための枠組みです。アイぺフは、米国、インド、日本、オーストラリア、ブルネイ、タイ、マレーシア、ニュージーランド、インドネシア、韓国、フィリピン、シンガポール、ベトナムの13か国で発足しました。この13か国で世界のGDPの4割を占めます。

会合後には共同声明が発表されました。声明には、自由で、開かれ、公正で、包摂的で、相互に結び付き、強靭で、安全で、かつ繁栄したインド太平洋地域への関与を共有すること、重要なサプライチェーンを確保すること、そして、

経済の強靱性、持続可能性、包摂性、経済成長、公平性、競争力を高めること、インド太平洋地域における協力、安定、繁栄、開発、平和に貢献すること、などが盛り込まれました。

参加国は、貿易、サプライチェーン、クリーンエネルギー・脱炭素化・インフラ、税・腐敗防止の4つの分野(柱)の目標を達成するため、経済協力を強化する様々な方法について議論を行うことになりました。ちなみに、インドは貿易の柱には参加していません。また、関税の引き下げや撤廃については議論の対象にしていません。

貿易の柱では、持続可能で包括的な経済成長を促進し、労働者と消費者に利益をもたらすため、貿易・技術政策において新しく創造的なアプローチを発展するよう努めることとしました。

サプライチェーンの柱では、危機対応策の調整、事業継続をより確実にするための協力の拡大、ロジスティックスの効率と支援の改善、主要原材料・加工材料、半導体、重要鉱物及びクリーンエネルギー技術へのアクセスを確保するよう努めることとしました。

クリーンエネルギー・脱炭素化・インフラの柱では、経済を脱炭素化し、気候の影響に対する強靱性を構築するため、クリーンエネルギー技術の開発と展開を加速することを計画することとしました。

税・腐敗防止の柱では、効果的で強固な税制、マネーローンダリング防止及び贈収賄防止制度を制定し、施行することにより、公正な経済を促進することとしました。

アイぺフ立上げの背景

この枠組み、インド太平洋地域において影響力を拡大する中国に対抗するため、米国が主導で、新たな経済圏を構築することが主な狙いです。そして、米国は、この地域が経済成長していることを踏まえ、この地域への影響力を維持する目的もあります。

一方、米国以外の参加国は、この枠組みによって、経済面で米国との関係を強化して、この地域において中国の影響力が拡大するのを抑制したいという思惑があり、また、米中両国との関係においてバランスを保つ狙いもあるものと考えられます。

米国は、国内の農業地域における反対を受けて、TPP(環太平洋経済連携協定)から

離脱したけど、アジア太平洋地域での影響力を維持するため、代わりにIPEFを

立ち上げたそうだよ。そして、国内の不安を解消するため、IPEFには、関税の

引き下げや撤廃が含まれていないと言われているよ!

2022年のアイぺフ閣僚級会合

2022年9月、閣僚級会合が米国のロサンゼルスで開催されました。フィジーが新たに加わり、14か国が参加しました。貿易、サプライチェーン、クリーン経済、公正な経済の4つの柱について議論が行われました。

そして、4つの閣僚声明が発出されました。その概要は次のとおりです。

貿易については、労働、環境、デジタル経済、 農業、競争政策、透明性及び良き規制慣行、貿易の円滑化、包摂性、技術支援及び経済協力に関連する規定及び取組を追求することとしました。

サプライチェーンについては、重要分野及び物品の基準の策定、重要分野と物品における強靭性及び投資の増加、情報共有及び危機対応のメカニズムの構築、サプライチェーンにおける物流管理の強化、労働者の役割の強化、サプライチェーンにおける透明性の向上を行うこととしました。

クリーン経済については、パリ協定の目標及び取組に従って、温室効果ガス排出の緩和及び除去、エネルギー安全保障の強化、気候変動への強靭性及び適応を目指す取組、人々のための持続可能な生活及び質の高い雇用を加速させることとしました。

公正な経済については、腐敗防止、税、キャパシティ・ビルディング及びイノベーション、協力や包摂的な連携及び透明性に焦点を当てることとしました。

2023年のアイぺフ閣僚級会合

2023年5月、閣僚級会合が米国のデトロイトで開催されました。そこでは、貿易、サプライチェーン、クリーン経済、公正な経済の4つの柱について議論を行い、2つ目の柱であるサプライチェーン協定に関する交渉の実質妥結が発表されました。

実質妥結されたサプライチェーン協定には、 サプライチェーンの強靱性、効率性、生産性、持続可能性、透明性、多元性、安全性、公平性及び包摂性を向上させること、

サプライチェーン途絶の危機時の協力及び対応を促進して、危機時に影響を受けた物品の適時な調達を支援するために協働すること、労働者及び企業、とりわけ中小零細企業が、強靱で、強固かつ効率的なサプライチェーンの恩恵を受けること、

サプライチェーンにおける労働者の権利を誠実に尊重し、促進し及び実現すること、重要分野及び重要物品における十分な数の技能労働者の利用可能性を確保すること、そして、市場原理を尊重し、貿易に対する不必要な制限及び障害を含む市場歪曲を最小化し、企業の機密情報を保護すること、

これらの取組を支援するために、3つの新しいサプライチェーンに関する組織を設立すること、などが盛り込まれました。

2023年のアイぺフ首脳会議

2023年11月、首脳会議が米国のサンフランシスコで開催され、首脳声明が発表されました。声明には、

記録的な速さで目標を達成したこと、サプライチェーン協定の署名に立ち会い、クリーン経済協定及び公正な経済協定の交渉を実質妥結させたこと、これらの協定を通じた継続的な協力は、労働者の権利を促進し、サプライチェーンの途絶の防止と対応能力を高め、クリーンな経済への移行に関する協力を強化し、腐敗と戦い、税務行政の効率性を改善させること、

13か国は、技術支援と経済協力を伴った形で、強力で強制力のある労働基準を通じて労働者の権利を向上させ、農家や零細中小企業などのビジネスの機会を改善させ、公正で開かれたルールに基づく貿易を促進させ、社会のあらゆる層に恩恵をもたらす、相互に有益な貿易の柱の成果に向けて、前進しており、引き続き取り組んでいくこと、

重要鉱物対話を立ち上げ、重要鉱物に関するサプライチェーンを強化し、地域の経済的な競争力を高めるため、より緊密な協力を促進すること、本日の会合は、2024年から毎年開催される閣僚級の評議会の設立及び2年1度の首脳会合の開催を通じて、前進し続けるための新たな基盤を築くものであること、

継続的な協力等を通じて、労働者の権利を促進し、環境を保護し、全ての人々のための平和、安定、発展及び繁栄の未来における働きがいのある人間らしい仕事、包摂的で持続可能な経済機会を創出するための能力を高めること、などが盛り込まれました。

そして、実質妥結された3つの協定の概要は次のとおりです。

クリーン経済協定では、参加国は、共有する気候目標とネット・ゼロ排出経済へのそれぞれの道筋を積極的に追及することとしました。そのため、クリーンエネルギー及び気候に優しい多様な技術に関する研究や開発、クリーンエネルギーのサプライチェーンの強化などのクリーン経済への移行のために重要な様々な問題に取り組むこととしました。

公正な経済協定では、インド太平洋地域における貿易及び投資環境を改善するため、経済の公正性、包摂性、透明性、法の支配及び説明責任を強化するうえで協働することとしました。具体的には、マネー・ローンダリングや贈収賄を含む腐敗行為の防止とこれと戦う取組の強化、租税に関する透明性、情報交換、国内資金動員及び税務行政を改善するための取組の強化に向けて協働することとしました。

繁栄のためのインド太平洋経済枠組みに関する協定では、評議会及び合同委員会を設立することとしました。これらの会合は年に1度開催され、全ての閣僚級会合を同じ場所で同時に開催することとしました。評議会では、各協定の運用に影響を与える事柄や新たな参加国又は協定の追加の可能性を検討することとしました。合同委員会では、各協定間又は協定全体における取組を可能にする方法、重複や潜在的な対立を削減させることを目的として、各協定の下での取組を監視することとしました。

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