【WTO(世界貿易機関)】経緯、協定、組織などをわかりやすく解説!

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WTO

WTOとはWorld Trade Organization(世界貿易機関)の略称です。WTOはスイスのジュネーブに本部がある国際機関です。WTOには164の国と地域が加盟しています。

WTOは、加盟した国と地域(加盟国)が物品やサービスの自由貿易などを行えるようにするため、国際ルールを決めたり、貿易に関する紛争を解決したり、貿易の交渉や協議を行う場を提供したりしています。

WTO設立の経緯

1929年から始まった大恐慌は、1930年代には世界経済のブロック化へと進みました。そして、ブロック経済と保護主義的な貿易政策が第2次世界大戦の一因となりました。

1947年、この反省を踏まえて、自由貿易体制の実現を目的とした国際ルールを設けるため、ガット(GATT: The General Agreement on Tariffs and Trade(関税と貿易に関する一般協定))が締結されました。

1948年、GATT体制が発足しました。その後、GATTの加盟国は増えて行き、日本は1955年に加盟しました。GATTは、最恵国待遇、 内国民待遇、 数量制限禁止、 関税引下げの4つの原則を基本として、貿易の自由化を促進しました。そして、GATTは、国際貿易のルールとして世界経済の発展に貢献しました。

GATTは、2国間の貿易問題を仲裁する立場でしたが、貿易の形も次第に複雑になり、複数国の間でも問題が起きてきました。そのため、次第に多角的貿易交渉(ラウンド)が行われるようになりました。

1986年、ウルグアイ・ラウンドが開始されました。GATTの多角的貿易交渉として、全ての加盟国が、様々な貿易の自由化などに向けて交渉を行いました。そして、交渉は8年に及びました。

1994年、金融、情報通信などのサービス貿易の自由化、特許権などの知的所有権の取扱い、農産物の自由化、貿易紛争を解決するための機能の強化、WTOの設立などが合意されました。そして、1995年には、WTO協定が発効され、同協定の実施・運用などを行うための国際機関として、WTOが設立されました。

WTO協定

WTO協定は、「WTO設立協定」とも呼ばれ、「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定」とその付属書1~4から構成されています。付属書1~3については、WTO協定と不可分のものであり、WTOの加盟国は、付属書1~3の全てを一括受諾する必要があります。

付属書4については、WTOの加盟国に受諾の義務はありません。受諾した加盟国の間で適用されます。そして、WTO協定は前文と1~16条から構成されています。

前文には、生活水準の向上、完全雇用の確保、高水準の実質所得と有効需要の着実な増加、資源の完全利用、物品とサービスの生産と貿易の拡大などの目標が規定されています。条文には、WTOの権限、任務、構成、地位、意思決定、改正、加入、脱退などが規定されています。

付属書1~4の構成は次のとおりです。

付属書1 (1) 付属書1A: 物品の貿易に関する多角的協定 (A) 1994年の関税及び貿易に関する一般協定 (B) 農業に関する協定 (C) 衛生植物検疫措置の適用に関する協定 (D) 繊維及び繊維製品に関する協定 (E) 貿易の技術的障害に関する協定 (F) 貿易に関連する投資措置に関する協定 (G) 1994年の関税及び貿易に関する一般協定第6条の実施に関する協定 (H) 1994年の関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定 (I) 船積み前検査に関する協定 (J) 原産地規則に関する協定 (K) 輸入許可手続きに関する協定 (L) 補助金及び相殺措置に関する協定 (M) セーフガードに関する協定 (N) 貿易の円滑化に関する協定 (2) 付属書1B: サービスの貿易に関する一般協定 (3) 付属書1C: 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定

付属書2: 紛争解決に係る規則及び手続に関する了解

付属書3: 貿易政策検討制度

付属書4: 複数国間貿易協定 (A) 民間航空機貿易に関する協定 (B) 政府調達に関する協定 (C) 国際酪農品協定(1997年末に終了) (D) 国際牛肉協定(1997年末に終了)                            

WTO協定の基本原則

貿易障壁の軽減と無差別原則という考え方に基づき、WTO協定には4つの基本原則があります。

1. 最恵国待遇原則 特定の国の産品に対し、低い関税などの最も有利な待遇を与えるときは、他の全てのWTO加盟国の同種の産品に対しても、同じ待遇を与える必要があります。

2. 内国民待遇原則 輸入品に対して適用される内国税や国内法令については、同種の国内産品に対して適用する税や法令よりも不利にならないことが必要です。

3. 数量制限の一般的禁止の原則 輸入・輸出される産品に対して、関税その他の課徴金以外のいかなる禁止又は制限もできません。つまり、数量制限はできません。

4. 関税にかかる原則 関税は、合法的な国内産業保護手段として認められますが、相互的かつ互恵的に関税の引き下げを図る必要があります。

WTOの組織

WTOには、閣僚会議、一般理事会、紛争解決機関、貿易政策検討機関、理事会、委員会、作業部会があります。

閣僚会議は、全加盟国の代表から構成され、少なくとも2年に1回開催されます。そして、閣僚会議はWTOの最高意思決定機関です。また、一般理事会は、全加盟国の代表から構成され、年に6回程度開催されます。

一般理事会は、閣僚会議と並列する実務組織で、閣僚会議が開催されていない間、閣僚会議の任務を行います。一般理事会には、下部組織として、物品、サービス、知的財産権に関する理事会があります。そして、各理事会の下には各種の委員会や作業部会があります。

一般理事会は、紛争解決機関や貿易政策検討機関としての任務も果たします。紛争解決機関は、紛争解決委員会とも呼ばれ、貿易紛争を解決するための準司法的な組織です。

紛争事案を処理するため、二審制として小委員会と上級委員会が設置されます。貿易政策検討機関は、貿易政策検討委員会とも呼ばれ、加盟国の貿易政策などについて検討を行います。

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