IC
IC(集積回路)はIntegrated Circuitの略称です。ICチップと呼ばれることもあります。ICとは、多数の半導体素子(デバイス)などを組み合わせて、相互に接続したものを1つの半導体基板の上に実装した電子回路ことです。
半導体とは導体と絶縁体の両方の性質を持つ物質です。すなわち、導体とは電気を通す物質のことです。絶縁体とは電気を通さない物質のことです。そして、半導体とはその中間の性質を持つ物質です。
半導体素子とはその半導体を使って作られた電子部品のことです。半導体素子にはディスクリート半導体、IC、センサー、オプトエレクトロニクスなどの様々な種類があります。

このように、ICは、半導体素子のうちの1つですが、多数のディスクリート半導体を組み合わせて、1つの半導体基板の上に集積した電子部品です。そして、ICには、高速で効率的なデータ処理を行ったり、大量のデータを記憶したりする機能があります。
先に解説したように、ICと半導体は異なるものですが、ICは、半導体を使って作られた素子を組み合わせた部品ですから、半導体とは密接な関係があります。そのため、ICを半導体と呼ぶこともあります。
ディスクリート半導体
ディスクリート(discrete)とは「個別の」「分離した」という意味です。すなわち、ディスクリート半導体は、ICとは異なり、1つの基本的な機能だけを持つ半導体素子のことです。
ディスクリート半導体は、電子機器の基礎となる部品で様々な種類と特性があります。ディスクリート半導体には、抵抗やコンデンサなども含みますが、代表的なものとしてダイオードとトランジスタがあります。これらは電子回路の基本的な機能を果たしています。

ダイオードは、電流を一方向にのみ流すことで逆流を防ぐ半導体素子です。 ダイオードは整流器、保護回路、信号処理などに使用されます。トランジスタは電気の流れをコントロールする半導体素子です。すなわち、トランジスタには、電気信号を増幅する機能や電気を流したり止めたりするスイッチング機能があります。

トランジスタのスイッチング機能を利用しているのがコンピュータだよ!すなわち、コンピュータは「0と1」という2進数で様々な演算を行っているよね!コンピュータは、電気を流すONと電気を流さないOFFのスイッチで、この「0と1」の演算を行っているんだよ!
ICの集積度
ICは数ミリメートル~十数ミリメートル程度の大きさです。この大きさの半導体基板の上には、ナノメートル(1ミリメートルの100万分の1)単位の素子が数千万個~数十億個組み込まれています。素子とは、トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサなどの電子部品のことです。

このようなICは、微細な素子が数多く集積されていることによって、複雑なデータ処理を高速で行ったり、大量のデータを記憶したりすることができます。そして、ICに素子が多く集積されているほど、その性能も高くなります。
ICは、その中に集積されている素子の数によって、SSI(Small Scale Integration: 小規模集積回路)、MSI(Middle Scale Integration: 中規模集積回路)、LSI(Large Scale Integration: 大規模集積回路)の3つに分類されます。
SSIには100素子以下、MSIには100~1,000素子、LSIには1,000~10万素子が集積されています。しかし、現代ではVLSIやULSIという集積度のICが利用されています。また、さらに大規模なものも出てきています。

VLSI(Very Large Scale Integration: 超大規模集積回路)には10万~1千万素子、ULSI(Ultra Large Scale Integration: 超々大規模集積回路)には1千万素子以上が集積されています。さらに、GSI(Giga Scale Integration)の素子数は10億以上にもなります。そして、ICの集積度はさらに上がっており、その性能はさらに向上しています。
ICの機能
ICにはロジック、メモリ、アナログなどの機能があります。ロジックICには、デジタル信号(データを数値で符号化して表す信号)を処理したり、論理演算を行ったり、機器をコントロールしたりする機能があります。

そして、ロジックICは、CPU(Central Processing Unit: 中央演算処理装置)やDSP (Digital Signal Processor: デジタル信号処理装置)に利用されています。CPUは、パソコンやスマートフォンなどの電子機器に内蔵されています。
例えば、パソコンのCPUには、マウスやキーボードから入力された指示を処理したり、メモリなどから受け取ったデータを演算したり、パソコン全体の動きをコントロールしたりする機能があります。つまり、CPUは頭脳や司令塔のような役割を果たしています。
また、DSPには、アナログ信号をデジタル信号に変換して処理したり、大量の複雑な演算を高速で行ったりする機能があります。そして、DSPは音声処理、画像処理、通信などに利用されています。
メモリICはデータの記憶や保存などを行います。メモリICは、パソコンやスマートフォンなどの電子機器のほか、USBメモリやSDカードにも内蔵されています。そして、メモリICは、揮発性メモリのRAM(ラム: Read Only Memory)と不揮発性メモリのROM(ロム: Random Access Memory)の2種類に大きく分類されています。
揮発性メモリのRAMは電源を切ると記憶したデータが喪失します。一方、不揮発性メモリのROMは電源を切っても記憶したデータは喪失しません。RAMとは、データを一時的に記憶して、そのデータを自由に読み出したり書き込んだりすることができる作業領域のことです。

RAMは、容量が大きいほど動作が速くなるので、作業効率を上げることができます。ROMとは、データを長期的に保存して、読み出すことだけができる保存領域のことです。ROMは容量が大きいほど多くのデータを保存できます。
アナログICは、光、音、温度、熱などの物理的な現象の変化をアナログ信号として捉えて、処理したりコントロールしたりすることができます。すなわち、アナログICには増幅やフィルタリングなどの機能があります。
また、アナログICは、センサーで取り込んだこれらのアナログ信号をデジタル信号に変換することができます。その逆として、アンログICはデジタル信号をアナログ信号に変換することもできます。そのため、アナログICは、アナログ信号を扱う回路を内蔵しているオーディオ機器、通信機器、電源管理システムなどに利用されています。

ICは、スマートフォンやパソコンをはじめ、家電製品、産業機械、医療機器、自動車、飛行機など、様々なものの中に不可欠な部品として利用されているんだ!例えば、パソコンに内蔵されているCPUは、数億~数十億個以上のトランジスタが集積されているICの一種だよ!そして、現代では、ICのことをLSI(大規模集積回路)と呼ぶのが一般的になっているんだ!
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