【FTA/EPA】についてわかりやすく解説(パート2: EPA)!

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国際・政治

FTAとEPA

FTAは、貿易の自由化を図るため、関税の撤廃などを含めた2国又は多国間の協定です。EPAは、このFTAの取決めに加えて経済関係の強化を図るため、幅広い分野での連携を推進する2国又は多国間の協定です。

この2つの協定のうち、前回のパート1ではFTAについて解説しました。そして、今回のパート2ではEPAについて解説します。

EPAとは

EPAとはEconomic Partnership Agreement(経済連携協定)の略称です。EPAは、FTAに含まれる貿易の自由化に関する取決めのほか、経済関係の連携・強化や経済取引の円滑化などを図るため、幅広い分野でのルールを含めた2国又は多国間の協定です。

すなわち、EPAの目的は、FTAの目的である貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産権の保護、競争政策などに関する共通のルールをつくることによって、経済の様々な分野での連携を図り、経済関係の強化を推進することです。

投資のルール

投資のルールでは、自国の企業が、相手国において会社の設立や事業の活動などを行う際に、他国又は相手国の企業と差別されず、同じ取り扱いを受けること、また、自国の企業が、相手国で投資した財産が確実に保護されることなどを取り決めます。

例えば、自国の企業が、相手国において天然ガスの採掘事業を行う場合、相手国政府から他国と比べて不利な条件をのむことを求められることがないようにします。

また、自国の企業が、巨額の投資を行って天然ガスの採掘や処理などの施設を建設して、天然ガスの生産を開始したとき、相手国がその事業を国有化することを望む場合には、自国の企業は十分な補償を受けることができるようにします。

通商条約などで、ある国に与える最も有利な待遇をほかのすべての加盟国にも与えることを最恵国待遇と呼ぶんだ!また、自国の国民や企業などが相手国の国民や企業などと同じ待遇を受けることを内国民待遇と呼ぶんだ!

人の移動のルール

人の移動のルールとは基本的に人の往来の自由を取り決めることです。一方、自由に往来するうえで障壁となるのが入国や滞在に関する手続きや規制です。そのため、手続きの透明性や簡素化、規制の緩和などを行うことによって人の移動を円滑にします。

すなわち、入国や滞在に関する手続きの方法を誰でも容易に分かるようにするとともに、誰でも簡単に手続きを行えるように可能な限り単純明快にします。そして、入国や滞在に関する規制を可能な限り緩和します。

人の移動には次のような例があります。企業内の移動によって自国民が相手国に赴任する場合や自国民が相手国の企業に勤める場合があります。また、ある分野の労働力不足を補うため、労働者を受け入れる場合があります。

経済活動のグローバル化に伴い、国際化に特化した専門的又は技術的な能力を有する人材を歓迎する場合があります。そのほか、観光客を積極的に受け入れる場合があります。一方で、自国の女性や若者などの雇用機会を確保する観点から、外国から単純労働者を受け入れることは慎重になる傾向にあります。

知的財産権の保護のルール

知的財産基本法の第2条には知的財産と知的財産権を次のように定義しています。「知的財産とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、

商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。」「知的財産権とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。」

簡単に言うと、知的財産は創作によって生み出された無形の財産です。つまり、知的財産とは財産的価値を持っている情報です。そして、この情報は無断でまねされたり、利用されたりすることがあります。そのため、この知的財産は知的財産権として保護されています。

すなわち、知的財産を所有する創作者などの権利を保護する必要があります。保護の対象となる知的財産権には、発明を保護する特許権、物品の形状、構造又は組み合わせについての考案を保護する実用新案権、

新たに植物の品種を育成した者を保護する育成者権、デザインを保護する意匠権、文芸、学術、美術又は音楽の作品を保護する著作権、商品やサービスなどに使用されるマーク(識別標識)を保護する商標権などがあります。

このような知的財産権を保護するためのルールには次のような例があります。知的財産を無断で模倣したり、利用したりすることを禁止するなどの保護の強化について取り決めます。知的財産権を取得するための手続きを透明化及び簡素化する方法などを取り決めます。手続の透明化及び簡素化の方法とは次のようなことです。

知的財産権を取得するための出願手続きについて誰でも容易に知ることができるようにします。そして、複雑な手続きによって出願者が手続きを諦めることがないようにします。また、知的財産権を取得するため、自国で行われた審査の結果が相手国でも共有されることによって、審査手続きを省略又は短縮できるようにします。

競争政策のルール

競争政策のルールとは、事業者が自由に事業活動を行えるように、公正で自由な競争を維持又は促進するための政策をルール化することです。独占禁止法の目的が競争政策の基本的な考え方を示しています。

独占禁止法に規定されている目的は次のとおりです。「この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、

公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」

この競争政策の基本的な考え方によって競争的な市場環境が維持又は促進されれば、事業者は、より安くて優れた商品を提供して利益を得ることができます。そして、消費者は、より良い商品を購入することができます。その結果、事業活動が活発になり、雇用や所得の水準も高まり、消費者の利益も確保され、経済が発展することになります。

すなわち、競争政策のルールでは、独占などの公正で自由な競争を阻害する行為を取り締まることを取り決めます。貿易や投資の流れと市場の効率的な機能を円滑にするため、反競争的行為に対して適当と認める措置をとることを取り決めます。そして、反競争的行為を効果的に規制するため、法令を改正又は制定することなどを取り決めます。

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